2010年11月30日火曜日

スト破りの言い分

1980年11月、秋晴れの東北大学法学部のキャンパスの立て看板に「ストライキ決行中」の文字が躍っていた。毎年値上がりする授業料。苦しい家計から学費を捻出する田舎の両親の顔がちらつく。勉強好きの法学部生が授業を欠席してストに起ちあがるのはよほどのこと。ところが五百人の学生の中にたった五人だけのスト破りがでた。
その一人は「学生大会のスト権確立の手続きに瑕疵(かし)はないが、『渇すれども盗泉の水は飲まずです』です」と言い放ってスタスタと教室に入っていく。学費値上げはやめてほしいという意思表明を不正不義のようにいう感覚に私は私は茫然とした。彼はいま何をしているだろうか。人権感覚を持たぬまま、もしかしたら、どこかで裁判官をしているかもしれない。私が学生時代に納めた授業料は年間14万4千円。今の学生は44万7千円(95年当時)。三倍を超えた。親のすねはますます細くなっていく。(『こんにちは佳大です』 1995年10月29日号)
追記
函館市議会議員になって道南新報に「コーヒータイム」を書くようになる前、党衆議北海道8区予定候補として私は「こんにちは佳大です」という文章を書いていました。ちょっと言い過ぎの感もありますが、ちょうど今月があの学費ストから30周年ですので、懐かしい思い出として掲載します。

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