2015年12月3日木曜日

函館市の亀田地区の公共施設統合について一言あり その2

私は私自身の投稿「函館市の亀田地区の公共施設統合について一言あり」で今回の計画は「亀田地区公共施設いっせい廃止計画」となっているのではないか」と述べ賛成しかねると書きました。
→「函館市の亀田地区の公共施設統合について一言あり その1

日本共産党の地域新聞「道南新報」でも「時の焦点 亀田地区統合施設整備問題」として連載しています。私の意見とも重なるところがありますが、特に統合施設の1階に「行政機構を入れること」を疑問視し、論を展開しています。今回はその内容を紹介したいと思います。
1.「行政機構」の移入は本来の社会教育・福祉施設の充実を後退
函館市は亀田地区にある亀田福祉センター、亀田青少年会館、亀田公民館、美原老人福祉センターおよび美原児童館の5館を老朽化したとして統廃合する計画素案を示した。これは9月29日の第1回目の「統合施設の整備に係わる検討懇話会」で明らかにしたもの。

素案の概要は、1階は亀田支所の窓口業務など,2階は児童集会室や高齢者専用施設などで子どもと高齢者との交流機能を、3階は講堂や可動式間仕切りで会議・研修室、4階は体育室となっている。建設場所は現在の亀田福祉センターと旧水道局の敷地を利用する。亀田支所前をバスターミナルにし、駐車場を敷地南側にするなど総事業費29億8千万円を見込んでいる。平成32年供用開始を目指し、28年度中に基本設計、29年度に実施設計、30~31年度の2ヵ年で建設しようとするもの。

これらの市の計画(素案)は先の6月に5つの施設ごとに行った住民説明会での意見が早くも素案に反映されていない点が数多くある。本紙は今後、シリーズで問題解明したい。第1の基本問題は、唐突に亀田支所の行政機構を1階に入れたことである。廃止の対象となる5館は、いずれも社会教育施設であり福祉施設である。これを廃止しただけでも内容の発展や住民の利用度など縮小されるのに貴重な4階スペースの1階部分を行政機構で占めることは現在の5館の設立目的や人間形成の場としての理念に欠けるといわざるを得ない。続く。

2.年間28万8千人の市民利用の確保を 1部存続と全館活用で
前号では、函館市が現在ある亀田福祉センター、亀田青少年会館、亀田公民館、美原老人センター、および美原児童館の5館を老朽・狭隘化したため統廃合して同福祉センターに4階建ての統合施設を建設する計画だと述べた。

これを巡ってそれぞれの地域住民や利用している市民から様々な意見が率直に出されている。前回は、過日の第1回「検討懇話会」で「亀田支所機構が新施設の1階部分を占める」計画に触れた。唐突で事前の住民説明会では殆んど出されなかった問題でもある。

既存の5館が社会教育施設や福祉施設であり、当然1箇所に統合されても人間形成の場として充実発展されなければならないと論じた。いくら亀田支所が手狭になったとしてもそれは「統合施設」とは別問題である。本来的な「行政機構」の亀田支所の市民サービス部門の窓口業務などが「複合施設」の名の下に移転することにはならない。

現在の1階の福祉事務所の必要性も充分わかる。支所の2階の住宅施設公社は、別途、移転を含めて検討する位でないと5館の本来目的は達成されないであろう。

平成26年ベースでこの5館の市民利用数は28万8千人(そのうち亀福祉セは13万4人)で「廃止」予定の亀田青少年会館ら4館(児童図書館含む)の合計は15万6千人ある。4館完全廃止になると市民、とりわけ高齢者、子育てママ、青年・児童、町会関係者など15万人余が行き場を失ってしまう事になる。社会教育や福祉の後退を少しでも和らげるとしたら支所機構の一階スペースを取りやめ、青少年会館など既存施設の手当てをして存続を計るべきであろう。続く

3.「統合」で地域コミュニティーは守られるか 第2回検討懇話会開かれる

14日、「亀田地区における統合施設の整備に係わる検討懇話会」の2回目の会議が亀田福祉センターで開かれた。この懇話会の委員は亀田地区の社会教育・福祉施設5館を利用している町会連合会や体育協会などや公募で選ばれた人たち10人で構成されている。

当日は、前回、函館市(企画部)が示した建設「素案」を中心に、委員側が事前アンケートで寄せた意見をもとに市側が回答する形で、それを受けて意見が交わされた。『時の焦点』として本論で問題にしているテーマについて述べたい。

①統合施設4階のうち、1階を亀田支所の窓口業務などで占めてしまうことについて-2人の委員から「行政機構は出来れば無しにして図書館などの施設に、また多目的な広場に」「高齢者・児童機能として市民目線で1階使用を」という声が出された。

これに対して、市側は「支所は福祉事務所として集約して使いたい」としてあくまでも戸籍などの市民サービス部門は新施設の1階にと固執した。また、別の委員からは、社会教育などを充実させるため「5階建ての施設整備も検討してもらいたい」の意見も出た。

②現行施設は5館廃止に伴う地域のマイナス問題について-地域のコミュニティーとしての役割が大きく、要望が根強い「亀田青少年会館」を計画的に補修し、延命を図ることを望む」という意見も出された。市側は「統合施設でまとめたい」との姿勢を崩さなかった。続く

4.亀田支所移転は無理筋  「新施設」は全て社会教育・福祉目的に

函館市は、「亀田地区における統合施設整備基本計画(素案)」の住民説明会を10月19日、22,23日の3日間で統廃合を対象としている5館(美原児童館・亀田福祉センター・亀田青少年会館・亀田公民館・美原老人福祉センター)それぞれで開催した。各施設の利用者や関心を持つ住民が熱心に市の素案の説明を聞いた後、率直な意見がどの会場でも相次いで出された。大方の意見は、『素案』に対して批判的で再検討を求める事柄が続出した。 今回、市と住民が論議されたことから見えるものは何か、問題点や今後の方向を探ってみたい。

①新施設(現福祉センター)の1階スペースに現亀田支所の窓口部門など所掌事務をすべて移転して置こうというもの。これでは「函館市支所設置条例」に基づき、新施設が亀田支所になってしまうことになる。現行の福祉事務所と窓口部門などを切り離すことは市民サービスの大変な低下である。2階の住宅都市施設公社の移転を考え市民相談などの所掌事務と福祉事務所との一体化を図るべきである。新施設の4階建てはあくまでも社会教育施設や福祉施設の充実に当てるべきである。  

②老人福祉センターの存続の声が同会場での説明会で圧倒的に出された。「お風呂」や「機能訓練器具」などの施設は高齢者の楽しみであり、健康維持のためにも必要で、市の言う「財政コスト」や「将来の人口減」は納得できない。国民年金生活者を圧迫するなどの意見が集中した。続く 

5.市民の声を反映した「基本設計」に   「素案」は見直し、練り直しに

函館市の「亀田地区における統合施設整備基本計画(素案)」を巡って4回に渡って論を重ねてきたが、今回は住民説明会などで出された市民の声が、「統合施設」の「素案」段階から28年度に示される『基本設計』にどう反映されるかーについて考えたい。  

「素案」が示される前の6月に亀田福祉センターなど5館を統廃合する話し合いがそれぞれ5箇所でひらかれ、その中で出された意見を参考にしたとする「素案」が9月と10月の『検討懇話会』の委員の間でも論議された。その後、10月19日から23日の間に統合対象である5つの施設で住民説明会が開催された。 

気になるのは6月の説明会では「統合施設」が老人福祉センターなど社会福祉、青少年センターなどの社会教育施設が4階全てに、それらの特色を生かして統合されると思っていたものが、何の事前説明もなく「亀田支所」の機能が1階を占めると言う「素案」になって突然表れたことである。

このことで検討懇話会でも、特に10月の住民説明会では「お風呂存続」や「児童図書館存続」「青少年会館などの改修存続」などと並んで問題となった。「結論ありきの説明会でなく、いろいろ意見を聞いて欲しい」の声も強く出された。素案は、あくまでもたたき台であり、検討懇話会や住民の意見を聞いて見直し、練り直すべきである。続く

6.市は「素案」を修正し、住民の期待に応えよ 今後の市議会での議論に注目

亀田地区統合施設の整備問題について考えてきたが、本論で一応、最終回としたい。6月の住民説明会を皮切りに「検討懇話会」3回、素案に基づく住民説明会が10月に開かれるなど市側はパブリックコメントをして来た。

この間の論議の中心点について述べたい。最初に、今回の5館の統廃合は、各施設の老朽化に伴う「整理統合」が出発点である。これは耐久度や危険度などから見ての措置である。

従来の各施設の利用者や社会教育・福祉の充実を願う市民の多くからは、市が示した「素案」に批判や要望が続出した。しかし市側は「市の将来人口」や「財政難」を理由にして、住民らの真摯な意見に、しばしば右の「理由」を挙げて”黙殺”してきたことである。

代表的なものは、美原老人福祉センターの「お風呂」存続要望を頑なに「拒否」をし、 亀田支所の新施設1階への移転は「函館市支所設置条例」の住所変更をしてでも強行しようとしている。現在の亀田福祉事務所と分離することは「弱い人たち」など市民サービスの低下になるであろう。市は従来の5館の床の「機能面積」を単純に合計して新施設の2階から4階で十分だから1階には支所を入れるとの計画だ。しかし、同老人センターや青少年会館の敷地面積は考慮されず、これらが菜園や町会活動、災害避難地、遊び場、リクリエーションなどに使用されている面をカットしている。

「素案」のスキームに固執することなく1階利用も含めて再検討すべきである。亀田青少年会館の存続要望は根強い要求が地域にある。新施設から距離的にも遠く、立地上や「はこだて子どもセンター」として生き生きした活動から見ても存続「延命」策が必要である。

函館市は今回の「素案」について各パブリックコメント(住民の各意見)を大切にして修正したいとの考え方を示している。現在、亀田福祉センターの地理的位置は、今や市全体から見ても人口密度が高く中心点である。新施設への市民の期待も大きい。市側の英断を求めると共に市議会では、住民説明会などで出された意見をベースに基本論議を始め市民目線で検討することを要望する。(英)

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